複合音ABR(cABR)における時間分解能から見た難聴病態解明と次世代型補聴器開発

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研究担当者

岡本 康秀・神崎 晶

研究内容

合音ABR(cABR)の測定法の確立から、難聴者への臨床応用。

 感音難聴者における音・言葉の聞き取りの悪化として、周波数選択性と時間分解能が関与している。特に我々のこれまでの一連の研究より、難聴者における周波数選択性と時間分解能は、「聴覚フィルタ測定機器」「時間分解能測定機器」で臨床的に音声聞き取りの劣化を把握することが可能となった。しかしさらに中枢、つまり脳幹での音声の時間的処理の測定は現在まで臨床的に把握できずにいる。
 これまで臨床応用されている聴性脳幹反応(ABR) は、クリック音を刺激音としている。今回の研究では、入力音を音声・複合音とすることで、音声刺激そのものの脳幹での反応を得るように測定法を確立する。刺激音としては、刺激音:/da/を用いる。
 測定の例を下図に示す。左上図が刺激音(入力音)/da/であり、左下図がその音声に対応した脳幹反応を示す。中上図・右上図は刺激音のFFT 波形であり、/da/の音声の周波数情報はこのようになっている。この刺激に対するエンベロープ(Envelope)情報が中下図である。脳幹反応としてF0 情報を含む刺激音に対する脳幹での周波数情報を検出することが可能である。また、右下図では時間微細構造(TFS: Temporal Fine Structure)が検出できている。つまり、/da/の入力音における脳幹反応として、エンベロープ情報と時間微細構造情報が抽出することが可能ため、音声入力における脳幹の時間周波数応答を見ることが可能である。現在健聴人における入力音(刺激音)を様々に変化させ、その脳幹反応から臨床に応用出来うる入力音と検査機器の開発を行う予定である。その後難聴者に対して測定・評価を行う予定である。
 また、今後この結果を基に補聴器による音声エンハンスシステムを構築し、補聴器搭載を検討している。

学外共同研究者

入野 俊夫(和歌山大学システム工学部)

サポートを受けている研究費

基盤研究C

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